2023年11月20日、荒川区の高齢者福祉課主催
「域包括支援センター職員に向けた障がい福祉に関する研修」が開催されました。
参加者は、荒川区内の各地域包括支援センター職員の他、高齢者福祉課、介護保険課、健康推進課、障害者福祉課、そしてソラティオからコンパス、基幹相談支援センターのメンバーで、合わせて約50名となりました。
3回目となる本研修では、振り返り型の事例検討を取り入れ、介護保険分野と障害福祉分野で連携した2つのケースを取り上げました。
事例1
事例の1つめは、多額の預貯金を保有している65歳、ひとり暮らしの方です。
精神障害をお持ちで、がんを患っています。障害福祉から介護保険へ移行するタイミングで経済的虐待が発見され、成年後見制度の利用に至るまでのプロセスを振り返り、ご本人の権利の擁護のあり方について検討を行いました。
事例2
事例の2つめは、知的障害のある方です。
高齢で認知機能が低下している親御さん、健康状態が悪いご兄弟と一緒に生活されています。
それぞれ個別に有する課題が各々の生活に影響を与え、世帯全体の課題となっている状況があり、まさに重層的な支援が必要なケースでした。
検討の様子
事例提供者の説明後、席の近い方々で話し合う時間を何度か設けました。
話し合いでは包括としての自分たちであればどう動くかを考えながら、それぞれの視点で意見が共有されました。
「あの対応、あのスピード感で良いと思います」という共感の発言がある一方、「なぜあのときに動かなかったんでしょうか?私は、もっとスピード感を持って対応すべきだと思いました」と疑問を投げかける発言もあり、活発な意見交換となりました。
その中で「複層的、重層的な課題を抱える世帯や対象者を複数の機関で支援する場合、旗振り役はどの機関と決めず、優先的に解決すべき課題を担当する機関が担っていけると良いですよね。」という意見があり、旗振り役は状況に応じて変っていくものという視点に多くの参加者が納得していました。
基幹相談支援センターとしては、次のように整理してみました。
- 複数の機関で支援しているケースで、複雑な課題を認識した担当者は、どの機関に所属していてもまず声を挙げ関係者を招集する。(必要であれば基幹にバックアップを要請する)
- 各機関の担当者が集まったところで課題を整理し、優先的に解決が必要な課題を抽出する。
- 優先度の高い課題に対応する担当者を当面の旗振り役とする。(基幹はあくまで黒子役の立ち位置であることを忘れない)
検討の場でわかったこと
地域包括支援センターの性質上、近隣住民や民生委員などから様々な情報が寄せられ、とても高い確率で課題がある世帯に接触することがわかりました。
そのため、世帯全体を見て課題を抽出、整理してどこにつなぐべきか検討し、早急に対応が必要なケースでは迅速に行動しなければいけません。
虐待が疑われる場合は、更にスピード感を持って対応する必要があります。
事例検討を通して気付いたこと
計画相談におけるモニタリングは、必ずしも毎月実施するものではありませんし、ご本人の希望等によっては通所先で実施することもあります。
そのため介護保険分野に比べると、お家の中や家族関係を確認する機会が少ないように思います。
今回の事例検討を通して、自宅でモニタリングをする必要性や世帯の全体状況を確認することが必要だと改めて気付かされました。
ご本人とお話しする時も、ご家族や親せきなど、周辺状況についてもお伺いしながら、家族支援の観点も大切にしていきたいと感じました。
2024年1月26日(月)には、相談支援関係研修会「介護保険と障害保険福祉の円滑な連携のために・・・」がサンパール荒川にて開催されます。関係機関には参加申込書が届いていると思いますので、ぜひご参加ください。
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