研修

ピアスタッフと一緒に考える、精神保健医療福祉と事例検討

2027年7月31日、荒川区のサンパール荒川の会場で、
荒川区精神障がい者相談支援事業所コンパス主催のイベントを開催いたしました。

第1部は「ピアスタッフと一緒に考える精神保健医療福祉」、
第2部は「ピアスタッフと一緒に考える事例検討会」という構成です。

参加者はピアスタッフの皆さん、保健福祉医療等の専門職の皆さんです。
第1部は対談企画となり、特別ゲストとして藤井 千代氏をお招きいたしました!
大好評だった第1部の対談と第2部の事例検討について紹介させていただきます。

コンパスのピアスタッフである かずさんと、特別ゲストである藤井氏の出会いは、平成29年に行われた精神保健研究所のアウトリーチに関する研修でした。
研修に組み込まれていたリカバリのパートにおいて、当事者にお話しいただくことで学びを深めようと かずさん が招かれたそうです。

また、藤井氏が座長を務められた国の精神科救急に関するワーキンググループ(以下「WG」とします)に、唯一の当事者として かずさん が参画した際の話も出ました。
精神科救急の話題は非常にセンシティヴです。
WGでは精神科救急の対象となる方が「非自発性入院」であることが当然のように議論されており、かずさんは非常に驚いたそうです。
救急という逼迫した状況ではありますが、「本来であればご本人が治療に同意し、安心して入院するべき」といった意見を発信できる参画者が、当事者である 自分のみである状況がとても苦しかったと、かずさんは話していました。
また藤井氏も、かずさん がアウェイな状況で孤軍奮闘せざるを得ない立場であることが心配だったそうです。

そこで かずさんが事前に藤井氏に相談したところ、精神科救急に関する幅広い意見交換につながり、そもそも入院しない体制をどう創るかといったことまで議論したそうです。

このようなきっかけから、現在は気軽に意見交換させていただける関係とのことです。
かずさん は「藤井さんとの対談であれば、今後の精神保健医療福祉について、精神科医の立場と当事者の立場から本音で語り合えるんじゃないか」と考え、今回お招きしたと話しておりました。
精神科医でもある藤井氏ですが、本対談では「藤井先生」ではなく、「藤井さん」と呼ばせていただき、終始和やかな雰囲気の対談となりました。

藤井氏は、所属されている「地域精神保健・法制度研究部」という名称からお分かりになると思いますが、地域に暮らす精神障害をもつご本人とご家族が主体的な生活を送ることができるよう、日々様々な研究活動を行っていらっしゃいます。そして特に力を入れているのがアウトリーチ支援や意思決定とのことでした。

藤井氏はスライドを用いながら、優しく穏やかなトーンで説明をしてくださいました。

その中から共同意思決定について一部紹介させていただきます。
拡がっていってほしい願いや、ご本人の考えがわからないと進められない難しさ、進めるうえでのポイントについて話してくださいました。

  • ご本人の意思を尊重することと、ご本人の言うとおりにすることは違います
    ご本人の言うなりになることがご本人のためになることではありません


  • 自分の意思を押し通すのではなく、話し合いでお互いにわかり合うことが大切です
    精神障害の有る無しに拘わらず、ご本人も、支援者も、自分一人では決めないことが大切なんです
    自分に置き換えてみると、周りから言われて気付いたことってありませんか?
    自分のことは自分が一番よく分かっているかというと、実はそうでもないんですよね


  • 支援者は、ご本人が自分の治療であることを意識して主体的に考えられるよう関与していきます
    ご本人が力を付けていくことが大切です
    ご本人の調子が悪いときに決めていただくものではないですし、とても時間がかかります

藤井先生のご説明の後、会場の皆さんから質問等をいただきました。
ピアとして活躍されている方は、
「精神保健福祉士の資格を取得したところ、専門職的な視点が強くなってきました。
研修ではピアとしての視点が大事だと教わるので、自分はピアなのに・・・と悩ましく思っています。
重要なこと、大切にすべきことがあれば教えてください」
と質問してくださいました。

藤井氏からはこのような回答がありました。
「明確な答えはありませんが、状況によって変わるものですし気にされなくても良いのではないでしょうか。
両方知っていることで意識しなくてもピアとしての経験は生かされていると思いますよ」

最後に、対談の中で特に心に残った藤井氏のパワーワードを紹介させていただきます。

かかわりを持たせていただくときに、いつも大切にすること

それは、その方を好きになること

大変だと思ったことはあるけど嫌いになったことはないんです

精神科医療は閉鎖的
いろんな人の目が入ることが大事なんです

「藤井さん、本当にありがとうございました!」
会場に大きな拍手が鳴り響きました。

第2部は、ピアスタッフ協働事例検討会です。
コンパスのこいちゃんが、板書と共に進行しました。
内容について少しだけですがご紹介させていただきます。

対象の方はSさん。
家族と暮らす、引きこもりの男性について皆で話し合いました。
提供理由は、今後の支援について。
引きこもりが長期間に及び、一度医療につながり入院もしましたが、また元に戻り引きこもってしまわれている方です。

Sさんの生育歴、おだやかな話し方や性格、苦手なこと、好きなこと
会場の皆さんからの質問もあり
ホワイトボードは、Sさんの情報でどんどん埋まっていきます。
グループワークも実施され、参加されている方々のそれぞれの視点で会話が拡がっていきます。

大好きなアミューズメント施設やカラオケに行くために
Sさんが身なりを整えて外出ができるようになるといいね。

会場にいるみんなで
Sさんに想いを寄せ、
Sさんの可能性について考える時間は
あっという間に過ぎていきました。

進行役のこいちゃんですが、さすがのファシリテーションでした。
これだけの人数が参加する事例検討会のまわしって、そうそうできることではありません。
こいちゃんは「ふふふ」と微笑みながら軽やかなトークで場を和ませ、会場の心をつかんでいました。
リラックスして参加できる、そんな事例検討会だったのじゃないかと思います。
本ブログの筆者も同じ法人に属しておりますが、こいちゃんファシリの事例検討参加は貴重で、しっかり楽しませていただきました。

司会のきよさん★

~最後までお読みいただき、ありがとうございました~

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